永井荷風「ふらんす物語」からの風景~リュクサンブール公園~カルチェラタン
永井荷風が1908年のフランス遊学から帰途の後、その思い出を綴った「ふらんす物語」が発行されたのが、1909年。今から101年前のこと。
リヨンでは横浜正金銀行に勤め、そのあと帰国前の2ヶ月をパリで遊んだという。その思い出を綴ったこのエッセイは、とても明治時代に書かれたとは思えないほど現代感覚にあふれ、柔軟で優しい目をフランスと、そこに住むフランス人に向けています。
彼がフランスの地を踏む前の4年間、米国ニューヨークでの滞在経験を経た、欧米人の目でフランスを捉えているということですね。
アメリカでは見られない、フランス絵画に出てくる柔らかな光と風景のひとつひとつに感嘆し、その情景が手に取るように伝わってきます。
ひとつだけ。。。。時代を感じて、ああそうかと思ったのは、「辻馬車を奔らせる」→(現代語に直すと)「タクシーを捕まえる」。。。この時代には、まだ車というものが存在しません。(または初期段階で、庶民には手の届かない乗り物だったのかも)
地名もそうですね。「リュクサンブール公園」→「リュキザンブル公園」。きっと、メディア化されていなかったこの時代、永井荷風の耳にはこう聞こえていたのでしょうね。
パリ通の方に、ガイドブックの新情報と違った100年前のパリがどうだったか。永井荷風の「ふらんす物語」で見所の要所を知り得ることができます。
(新潮文庫・500円)
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